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意図不明・・・早く戻せ

昨日のニュースで気になったのが・・・これ

検査会社で放射性物質盗難=イリジウム192入り容器・・・・時事通信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080407-00000088-jij-soci
放射性物質盗まれる ビデオに不審な男・・・・産経新聞
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/080408/crm0804080031000-n1.htm

まず盗まれたイリジウム192とは何だろうか?
ガンマ線透過撮影試験用の代表的な放射線源で、主に薄物鋼板検査に用いられる。
同様目的で有名なのはコバルト60だが線源として「強すぎる」と言う対象物にはもっぱらコレが用いられている訳である。
この線源、私は使った事が実はある(^^;。
産経記事の重さ20キロというのは線源では無く遮蔽容器の重量で、線源自体はホルダー装備状態でも確か100グラム程度しか無いはずである。

Yahooのメニューから見ていくと線源遮蔽容器の写真が有るが、中央のハンドル付き容器の左右にチューブが見える。
片一方がレリーズで、操作盤との間をワイヤで繋いだもの。
もう片方が線源自体の誘導管である。
試験する場合、誘導管を被試験体にまで引っ張り、操作盤のハンドルを廻して線源を誘導管先端まで送り込む。照射終了したらハンドルを逆回転させて遮蔽容器内へ戻す。

この試験でよく起きるのが、「線源を戻したと勘違いし」不用意に被ばくする事故だ。
従って現状では容易に判断できる「線源未収納警報装置」の設置運用が為されている。

さて、産経記事では「イリジウム192が漏れて、約1メートルの近さで被曝(ひばく)すると、20時間で嘔吐(おうと)などの症状が出て、60時間で命にかかわるという。」

と表記されているが、意図的に操作しないと線源はロックされているので遮蔽容器から出る事はあり得ない。

この線源の物理的特性を以下に記する。
線源の強さ   公称 10キュリー = 3.7E+11ベクレル
半減期     約74日
ガンマ線特性  約300Kevのガンマ線が主体
        この線源から1mの位置での放射線量は
        およそ 50mSv/h = 50ミリシーベルト毎時

従って産経記事の60時間で命にかかわると言うのは、ほぼこの1m位置で被ばくし続けたら・・・・って案配であろう。
実際大昔の機器性能が悪かった時期に、装置から線源ホルダーが脱落し、無関係な人が拾ってアパートに持ち帰って重度被ばくしたと言う事件も存在した。


なお記事でも判るが、この線源は厳重に管理されており、2重ロックされた保管庫に置かれている・・・・しかし今回はそのカギの管理が不十分だった事が判る。
何れにせよ「何らかの関係者」以外には持ち出す事は難しい筈だ。
余りにも特殊な機器であり、売却することも難しい・・・・おまけに半減期が短いので利用できる期間も長くは無い・・・・コレを使い続けるには定期的に線源自体を交換する必要がある・・・・何の意図が有って持ち出したのか?理解に苦しむ。
一方盗まれた会社は・・・・実はこの業界の最大手であり、テレビコマーシャルも流している(^^;。


まぁ先日このイリジウムと言う金属が貴重だって番組が有った、確か年産4トンと言う案配で高価なのは確かである。金属イリジウムは融点が高く、溶解ルツボなどでの需要があり、10リットル強のルツボが1000万円超えていたりする。

しかし線源をイリジウム金属として見ても、確か10グラムにも満たない重量の筈である。
半減期の10倍期間が経過しても線源強度は1/1000に低下するだけで、簡単に放射線は検出できる強度を有している。従って金属として売却するにも最低5年以上後でしか無理だろう(^^;。


余談の追記

専門家でも・・・・曖昧な情報からなら誤った結論を出しかねない例として・・・・毎日新聞より抜粋

 小出裕章・京都大学原子炉実験所助教(原子核工学)は「370ギガベクレルから推測すると、1~10ミリグラムに当たる。むき出しなら死に至る可能性があり、非常に危険」と話した。

イリジウム線源は原子炉で中性子照射して作成される(発電用炉では無く研究炉)。
その生成は次式で表現される

 A = N×f×σ×(1-1/2^x)

    A: 生成される放射能     単位 ベクレル
    N: 対象となる物質の核種数  単位 個
    f: 照射する中性子束密度  
    σ: 中性子捕獲断面積    単位 バーン 基本は  1E-24
    x: 照射時間 t を半減期 T で除した値
       
上から、xが十分大きいとこの項は限りなく0に近づくので結局飽和値が Nfσ である。
即ち照射条件が変化しない場合、生成される核種と自ら壊変する核種量が釣り合う。
では 1グラムのイリジウム金属を飽和まで照射したら・・・・
N: 1/192×0.373×6.02E23
f: 通常原子炉で凡そ 1E12
σ: 700バーン ・・・・7E-22

結局飽和値で凡そ・・・・820ギガベクレル程度になる。
従って上記小出助教の話は・・・・純粋なイリジウム192を分離した上での話だろう。
しかし実際の工業レベルで濃縮作業などやるはずもなく(^^;、おまけに飽和まで照射する事も無い。
何せ線源として使える期間が精々3ヶ月チョイの物件製造に半年も1年も掛けても仕方ないので。

読売の記事を見ると・・・・0.14グラムって表示になっていますねぇ(^^;
と・・・・なると中性子束がもう少し高い原子炉なのかな?。
曖昧な情報からの結論が間違うのは私の話か(苦笑)。


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【genre : ニュース

tag : 放射性物質

⇒comment

Secret

ナンなんでしょう・・・・・不気味な事件ですね。
最初この事件の事を知った時に、何かテロにでも使うのでは・・・って思ったのですが、そんな威力も無さそうですし・・・・・。
でも、嫌がらせ以上の嫌がらせには使えますし、命にかかわる事も事実ですね。
犯人に、放射線の知識が無かったら、無理に分解すれば犯人も被爆しますし・・・。

でも、こんなもん専門の知識のある人しか価値がわからないでしょうから、近いところに犯人がいそうな気がしますね。

何なんでしょう!仰るように、早く戻して欲しいです。

判りませんねぇ

犯人の意図が・・・・
2重ロックを外して持ち去ったのですから、恐らく事情知った者だと思いますが・・・・転売が難しい物件ですから、会社への嫌がらせなんでしょうかねぇ。

操作盤等も持ち出したのでしょうかねぇ?

何れにせよ早い解決を願いたいものですね。




すいません。

はじめまして。
ブログに書き込みするのは誠に申し訳ありません。
イリジウム192が発見された箇所の河川で先週の中頃、釣りをしていた者です。
被ばくのことが心配で関係各所に連絡しましたが、専門用語ばかり出てきて一般人には理解不能でした。
それで、PCにて検索していた時にこのブログに辿り着きました。

竿などに付いた水を触っても被ばくの可能性はないのでしょうか?

もし宜しければ、お教え願えないでしょうか?












大丈夫です

明さん今日は、コメントいただきまして有り難うございます。

さて当該河川で釣りをされていたと言うことですね、ご不安になられるのも当然かと思います。

まずイリジウム192線源は何度か本文で説明しましたが、本物の中身は「仁丹」みたいな微少金属球です、この金属球がストロー状のステンレス筒に封入され(恐らく3重程度)、実際に使われる検査器具に装填されます。
従ってこの封入を破らない限り、「放射能」としての漏洩は全く心配有りません。
また封入を破った場合でも、イリジウムが水に溶け出す心配は殆ど有りませんし、報道では容疑者は被ばくをまぬがれていると有ったので、封入を破ったりはしてない筈ですので、この心配も有りません。

従って「放射能」と言う面では全く無問題です、毎日新聞の見出しが問題だと私が指摘したのはこの理由によります。

次に放射線の影響はどうか?ですが、水の遮蔽能力は非常に高く、例えば使用済み核燃料はそのまま遮蔽無し状態で晒されると附近の人間は即死します。
しかし数メートルの水中下にあれば、真上に居たとしても全く無問題です。
今は廃炉手続きに入った立教大・武蔵工業大の原子炉は上から炉心が見下ろせる位です。

従って遺棄された線源が鉛遮蔽体から離されていても、1m以上の水深が有れば放射線量としてはかなり低減されます。
また線源との距離も重要な要素で、放射線量は「距離の自乗に逆比例」の法則が有ります。
例えばこの線源が10キュリー(370億ベクレル)であった場合、その放射線量を距離別に比較すると

10センチ  5000ミリシーベルト/h
1m      50ミリシーベルト/h
2m      12.5ミリシーベルト/h
3m      5.6ミリシーベルト/h
5m      2ミリシーベルト/h

10センチの距離で1時間被ばくすると、実は半致死量にまで達しますが、この場合線源をネックレス代わりに胸からぶら下げたケースに相当するでしょう。
通常の釣りで近所に居たとしても、恐らく線源との距離は3m以上は有ったと思います。
そして水による遮蔽を考慮したら、一番高い数値を採用したとしても0.02ミリシーベルト/hを超えることは無いと推定されます。この場所で5時間釣りをしたとして、トータル0.1ミリシーベルトの被ばくを受ける事になりますが、コレは胸部レントゲン撮影1回分にもなりません。
従って外部被ばくの心配はまず有りません。

そして最後に竿などの水は大丈夫かですが、イリジウム192自身が外部漏洩している可能性は全くなく、それ以外に「ガンマ線による他の物質の放射化はあるか?」が問題ですが、高エネルギーガンマ線ならば多少は有るかも知れませんが、イリジウム192のエネルギーは低いのでこの問題も非常に小さい評価となります。元々一般土壌や水中にはウランが含有されていますが、その濃度の数万分の1以下の影響しか与えられない筈です。


従いまして明さんの心配は全く無問題、ノープロブレムです。
例え近所で釣った魚を食べても心配など有りません。

この回答でよろしいでしょうか。

管理人様

ニュースを観てから、心配で、『この先どうしよう』『どうしたら良いのか』と仕事を手に付かない状態でした。
管理人様のご回答を見て知識がない者にでも解かる内容で安心しました。

誠に有難う御座いました。
心より感謝致します。



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明さん今日は

原子力関係の事は普通の方には判りにくい事ばかりですので、出来るだけ記事として説明をするようにしております。
明さんの不安感を解消出来たようでホッとしております。
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